滋賀県ならではの食を楽しむ
近江商人の日常の食事は「質素」に尽きます。贅沢をせず、地域でとれる野菜や、琵琶湖の魚介などの独特の地産地消文化が自然に営まれてきました。それが鮒寿司をはじめ味噌、醤油、地酒といった発酵食であり、地域の繋がりを大切にする心が、現代で言う自然志向のオーガニック野菜を使った食文化に発展しました。

また、五個荘には川戸(かわと)があります。川戸は、まちを流れる清らかな小川から屋敷の中に水路を引きこんだもので、野菜や鍋釜をそこで洗い、そこで飼う鯉が飯粒を餌にするのです。残飯を極力減らす工夫がされ、現代のフードロスを考える原点がここにあります。
五個荘には「始末してきばる」という家訓があります。始末とは倹約するという意味です。この町では「始末」の心を現代風に実践し、可能な限りの食品ロスがない工夫に挑み、美しくいただく取り組みもはじまっています。